予防的胃腹壁固定術(腹腔鏡補助下胃腹壁固定術)
大型犬種に対して胃拡張胃捻転症候群(GDV)に進行する胃捻転を予防するために予防的におこなわれる手術です。
胃捻転症候群とは?
胸の深い大型犬種に起こりやすい致命的な病気です。
胃拡張が悪化して胃が捻れ、血液循環の悪化によるショック症状や
到死的な不整脈、胃の壊死や脾臓の捻転壊死を起こします。
適切な管理、手術をおこなっても
死亡率は15%〜27%といわれています。
ただし、予防的に胃腹壁固定術をおこなった犬の生存率は80%です。
胃拡張が悪化して胃が捻れ、血液循環の悪化によるショック症状や
到死的な不整脈、胃の壊死や脾臓の捻転壊死を起こします。
適切な管理、手術をおこなっても
死亡率は15%〜27%といわれています。
ただし、予防的に胃腹壁固定術をおこなった犬の生存率は80%です。
胃拡張胃捻転症候群を起こしやすいリスク因子 |
●胃捻転を起こしやすい犬種 | グレート・デン スタンダード・プードル ラブラドール・レトリバー アイリッシュ・セッター ワイマラナー ドーベルマン バーニーズ・マウンテン・ドッグ 等 |
●同じ系統で胃拡張胃捻転症候群に なった経歴がある犬 |
|
●胃腸障害のある犬 |
胃捻転を起こした犬の
腹部レントゲン画像
手術方法
胃拡張胃捻転症候群を予防する手術としては胃固定術があります。
胃固定術をおこなうケース
●胃拡張胃捻転症候群を起こした事はないが、予防的に胃腹壁固定術をおこなう場合 |
●一度胃拡張胃捻転症候群を起こしたが対症療法で改善し、再発予防をしたい場合 |
因みに対症療法のみをおこなった場合の再発率は80%、胃腹壁固定術をおこなった場合の再発率は1%といわれています。
当院での手術方法
従来の開腹手術に加え、傷が小さく、痛みの少ない腹腔鏡補助下胃腹壁固定術をおこなうことができます。
手順 |
①動物に麻酔をかけて毛刈り、消毒をします。
②へその下を5mm程切開し、カメラを入れる
トロッカーという筒を設置して
お腹の中を覗きます。
トロッカーという筒を設置して
お腹の中を覗きます。
③腹部右側の肋骨から近いところにも
同様にトロッカーを設置し、
そこから鉗子と呼ばれる器具を入れて
胃を引っ張りだします。
同様にトロッカーを設置し、
そこから鉗子と呼ばれる器具を入れて
胃を引っ張りだします。
④トロッカー周囲を切開して胃を外に出します。
⑤胃の表面のみを切開して、
切開ラインと腹壁周囲を縫合します。
切開ラインと腹壁周囲を縫合します。
⑥最後に、お腹の中をカメラで確認してから
傷を縫合します。
傷を縫合します。
術後の傷の写真
胃拡張胃捻転症候群の予防に対しては開腹しての胃固定術(ベルトループ法)をおこなっていましたが、腹腔鏡を使用することで小さい傷で開腹手術と同様の固定力を得られる手術ができるようになりました。